衆院本会議で所信表明演説をする安倍晋三首相=17日午後、国会(斎藤良雄撮影)                

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 安倍晋三首相(自民党総裁)は17日の所信表明演説で、憲法改正議論の進展を与野党に呼びかけた。

 ただ、立憲民主党の枝野幸男代表が「大事なことは説明しない」と指摘するように、強い意気込みとまでいえるほどの内容ではなかった。連立を組む公明党は慎重姿勢を強め、自民党も自衛隊を明記する9条改正には異論が根強く、火種を抱える。(岡田浩明)

 「互いに知恵を出し合いながら、共に困難な課題に答えを出していく。そうした努力の中で、憲法改正の議論も前に進むことができる。そう確信している」。首相は演説の終盤に、改憲論議についてこう訴えた。

 自民、公明両党は先の衆院選で改憲の国会発議に必要な3分の2超の議席を維持した。両党に希望の党や日本維新の会を加えると、いわゆる改憲勢力は衆院全議席の8割に達する。

 自民党の二階俊博幹事長は17日の記者会見で、来年の通常国会で改憲発議を目指すかどうかについて「ずるずる先延ばしにしてもしょうがない。議論して多くの党員の期待に応えたい」と述べ、議論の進展に意欲を示した。

 自民党は衆院選公約に、9条改正への自衛隊明記、緊急事態条項の創設、参院選の合区解消、教育無償化の4項目を改憲議論の対象に掲げた。党憲法改正推進本部は16日に党内議論を再開し、党改憲案の取りまとめを急ぎたい考えだ。

 これに対し、公明党は「自民党の議論を見守る」(山口那津男代表)と慎重な立場を崩さない。井上義久幹事長は17日の会見で、改憲について「どの項目の改正が必要か、国民的コンセンサスができている状態ではない」と突き放す。

 同党は平成16年、9条1項と「戦力不保持」を規定した2項を維持した上で自衛隊の規定を追加することを「加憲」の議論対象に掲げた。首相の提案に沿う内容といえる。

 しかし、集団的自衛権を含む安全保障法制成立に向けた与党協議では、支持母体の創価学会内に反対論が強い中、自民党に押し切られ、「平和の党」の看板が損なわれたとの見方が根強い。9条改正はその二の舞いになりかねないとの懸念が漂う。

 合区解消についても、17日の参院改革協議会の専門委員会で、公明党は参院選の選挙区を11ブロックに分ける制度改正を主張、合区解消を唱える自民党との溝は埋まらない。

 自民党も、国防軍創設を盛り込んだ党の改憲草案にこだわる石破茂元幹事長らが「草案をどう取り扱うのか」などと首相の提案に異論を唱え、意見集約は困難が予想される。

 希望は改憲に意欲的な細野豪志衆院議員が憲法調査会長に就任したが、党内には9条改正に慎重な勢力を抱え、立ち位置は明確になっていない。維新は9条改正を認めているが、力点を置いているのは教育無償化であり、首相の言葉通り改憲論議が前進する道筋は見えていない。